エッセイ

ルチアママは僕の主治医だった

花は年中で海の星幼稚園に入園した。入園式から何日か経ったある日のお迎 えでルチアママから、
「 のぶさんて百合ヶ丘?」
「そう2丁目、なんで」
「やっぱりね、なんか良く似た車が前を走っているので・・・」
ルチアママの家も実は百合ヶ丘の2丁目でいつも僕はその前を通って海の星ま で花を送迎していたのだ。

ある日、海の星幼稚園の駐車場で、
「そうなんだ、あの家間口が広くて、ほら黒のランクルも停めてるやろ」
「そうそう、あれはジェイの・・・それより百合ヶ丘に花ちゃんがいるってル チアも喜ぶし、今度寄ってくださいよ」
「そうだね、ほんと町内に幼稚園の友達がいるってすごいね、海の星は大磯と か平塚や小田原あたりからも通っているし・・・あれれ・・・ちょっとまって。 どこかで・・・うん・・・人違いか」
「・・・・」
「あの、ルチアママ、ひょっとして百合ヶ丘クリニックの・・・」
「そうそうあそこで・・・内科なんだけど呼吸器が専門で・・・」
「やっぱり、2・3年前のカルテ見て、僕、タバコ吸うので喉イガイガして1 回診てもらってるよ」
「そんなん、今度さがしとくね」

そらそうでしょ、百合ヶ丘クリニックはいついっても患者さんが多くてたっ た1度の診療のひとなんか覚えられないはず。

そのごルチアママから「のぶさんあったはカルテ、私診てたは」ということ が判明して、喉は治ったけど足の水虫が気になっていたので今度は月曜日の皮 膚科の日に百合ヶ丘クリニックを受診することになり、待つのが嫌な僕はルチアママに相談すると、
「いいよ、いいよまたんでも、院長にいっとくから」
内科で呼ばれて後ろから皮膚科にはいりこむテクニックをおそわり、おかげで何回か通って長年きになっていた水虫は完治したのです。院長はルチアちゃんの大パパのことでした。